壁面は、ろくな表面加工も施されていない金属板だった。恐らくA.D.5800より新しいものではあるまい。通信機の電源が今まで持ちこたえてきたのが奇跡というものだろう。
体中がきしんで唸り声をあげるのを感じた。…いつもこうだ。ほんのわずか油断した隙を必ず狙ってくる。いつものように押さえこもうとするがうまくいかない。ぎしぎしと音をたて、皮膚の下からそいつらが姿を表しそうになる。だが今ここでいいなりになる訳にはいかないのだ。まだこの惑星に誰かが生きていると分かっただけではない。さっき消えた通信、あれは、おそらくは…。
だが両腕からゆっくり血が滲み出てくるのを感じた。体の変異も始まっている。
「ちくしょおおおぉぉ！！！！」
＜BEFORE NEXT＞