主要登場人物 ジェイク： 生身　男　46歳　 廃棄物収集業。 ディーン・フライト： 生身　女　12歳　 色々必殺技が使えるらしい。 ミラン・アンダーソン： サイボーグ　女　42歳　 防御力より素早さが高い。戦闘力はなかなか。見た目は実年齢より若い。 スティーブ・ラグフォード： 生身　男　48歳　 サイボーグ製造会社勤務。色々アレな政治活動に首を突っ込んでいるらしい。　　 ブラウゾート： 生身　男　？歳 色々必殺技が使えるらしい。 施設局長： 生身　男　52歳 市の施設管理担当。前作で部下を殺されて色々腹に据えかねているらしい。 　　　　＊　　　　　＊　　　　＊ （ジェイクの職場） ジェイク:あ、じゃあお先。 同僚:お疲れ〜。 （ぼんやり歩くジェイク。だいぶ後ろで爆発音がする） ジェイク:（振り向く。が何も見えない。） ジェイク:（ちょっとため息をつく）最近物騒だよな〜。 （自宅への階段を上るジェイク。鍵を開ける。） （銃口がこちらを向いている） ジェイク:え？ （銃口が火を噴くタイミングでジェイクを庇い倒れるミラン、 銃を持った男3人を素早く殴り倒すディーン。） ディーン：間一髪〜！ ミラン：…殺してない？ ディーン：多分大丈夫じゃないかな〜。銃外しとくね。 （男たちの武装を外し、外に捨てるディーン） ジェイク:…はぃ？ ミラン：あなたは3日前にあった殺人事件の重要証人です。 　　　　少なくともこの連中はそう思ってる。 ジェイク:…は？ ミラン：とにかくここは危ない。 ミラン：（手をつかんで強引に）走って！ ジェイク:えぇ？ （部屋が爆発する。） （しんがりで適当に威嚇射撃をしつつついていくディーン） （通路に転がり込む3人） （ミラン、通路入口を閉め、ロックする。） （入口を壊そうとする音が聞こえてくる） ジェイク:…。 ミラン：証言さえすめば、 　　　　連中にはあなたを殺す理由はなくなる。 　　　　大丈夫、調停所につくまでの辛抱です。 ジェイク:証言って…。俺はただの廃棄物収集屋で…。 ミラン：いいから走る！ （奥のシャッターを閉めるミラン） （走る３人。） ディーン：（ミランに）ねぇ…。 ミラン：どうした？ ディーン：追いかけてこない…。 　　　　　待ち伏せにシフトしたみたい…。 ミラン：（ため息をつく） 　　　　　そりゃこっちの目的地は 　　　　　わかってるもんな。…！ ディーン：どしたの？ ミラン：…楽観主義者氏から連絡があった。 ディーン：何て？ ミラン：証言受付の締切時間が短縮になったって。 　　　　あと3時間だってさ。 ディーン：…！ ミラン：向こうはこっちをこの通路に3時間閉じ込めときゃいいわけだ。 　　　　…。じゃ、まあしばらくは襲ってこないでしょう。 　　　　向こうも無駄な損耗は避けたいだろうしね。 ディーン：本当…？ ミラン：施設局の人たちが今ジャミングかけてくれるそうだし、 　　　　さっきの入口の件、公共物損壊で 　　　　訴えてくれてるってさ。 ディーン：迎えに来てはくれないんだ…。 ミラン：そこはまあしょうがないよね。 　　　　なんとか集合場所まで行かないと。 ジェイク:…。あの…。 ミラン：（小型ディスプレイを出す） 　　　　これ見てください。 　　　　…20年前の映像です。 ----------- これでフタ閉めたらいいの？ 多分…。 わっかんねーなー輸送箱。 てか、このマニュアルがなー。 はぁ…。 何とか明日で決まってくれるといいんだけどなー。 こっち、どうします？ ああそのへん、もう燃しちゃっていいよ。 はい。 ----------- ミラン：正面の男の横で返事してる人、 　　　　これ、あなたでしょう？ ジェイク:…。…俺だけど…。覚えてないなぁ…。 　どっかの後片付けに呼ばれた時のかなぁ…。 ミラン：じゃあこの実験体は。 （実験体のスライドを見せる） ジェイク:…ああ。この機体か…。ああ、なんとなく覚えてる。 　ずいぶん立派なのがあるなぁと思った…。 ミラン：さっきの映像は、この時のですよ。 ジェイク:……。 ミラン：…この実験体がね、 　　　　3日前に輸送箱から出て暴れたんです。 　　　　色々と運が悪くてね。 　　　　最初にぶつかった施設局の技師さんたちと 　　　　取り押さえに入った市の武装官の人たち、 　　　　…合わせて20人ぐらい死にました。 ジェイク:…ええ？ ミラン：このとき、ここにいたのは、 　　　　この男とあなただけでしたか？ ジェイク:…。俺の仲間は何人か手伝いに来てもらってたと思うけど…。 　あっちの会社の人間はこいつ一人だったような…。 ミラン：この男は輸送箱の取扱資格を持ってません。 　　　　あなたとあなたの仲間は？ ジェイク:そんなの持ってるわけないだろう…。 ミラン：（ディーンと目を合わせる。ジェイクに向き直って） 　　　　そのことを証言してもらいたいんです。 ジェイク：……。 ミラン：さて、事情もおわかりいただけたようなんで、 　　　　行きましょうか。 ジェイク：行きましょうって…。 　さっき待ち伏せされてるって言わなかったか！？ ミラン：お、けっこう冷静ですね。 　　　　そのぐらいの図太さがあるなら大丈夫。 ディーン：…。（ミランに）なんか今日意地悪だね。 ミラン：えっ。 ディーン：おじさん。 　　　　　 ジェイク:？ ディーン：危ない目に合わせてごめんなさい。 　　　　　…でも大丈夫。私たちが守るから。 ジェイク:……。 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊ （走っていく3人） ディーン：近づいてくる…！ ミラン：…ジャミングが効いてない!? ディーン：…違う。 　　　　　私の位置がわかるんだと思う。 　　　　　きっと私の同類じゃないかな…。　　　　　 ミラン：…。 ディーン：私が行く。 　　　　　なんとかおじさんを 　　　　　連れてって。 ミラン：わかった。 　　　　 ジェイク：おぃ待てよ！ ミラン：急ぎましょう。 　　　　あの子を殺させやしません。 ジェイク:…。 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊ （ディーンと対峙するブラウゾートと武装者たち。） ブラウゾート：…。 ディーン：残念でした。 ブラウゾート：（同行している武装者たちに） 　　　　　　　西通路の方だな。 ディーン：！ 　　　　　（ディーンの眼が緑色に光る。 　　　　　　腕を伸ばすディーン。） 武装者たち：ぎゃあぁぁああ！！ 　　　　　　（血を噴きだして倒れ悶え苦しむ武装者たち） ディーン：はぁ、はぁ。 ブラウゾート：意外に躊躇しないんだな。 ディーン：…練習してるもん。 ディーン：（OFF）こいつにだけは効いてない…。 　　　　　　　　わたしと同類だからか…。 （踵を返して西通路に向かおうとするブラウゾート） ディーン：…！ （全力で力を放つディーン） ディーン：…そっちには行かせない！ ブラウゾート：ほう。 ディーン：…！ 　　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊ (待ち伏せている武装者たちを精密射撃で素早く打ち抜いていくミラン) ミラン：走って！ （走って行くジェイク。 そのすぐ後ろを後方に発砲しつつ走っていくミラン。） ジェイク:！ （行き止まりにあたる。） ミラン：その梯子を登って！ ジェイク:わかった！ （煙幕弾を投げるミラン。 後ろから梯子を上ってハッチを開ける。） ジェイク:！！！！ （ミランがハッチを開けたとたん銃口が突きつけられる。） ジェイク:ああああ。 ラグフォード：ジェイクさん！ 　　　　　　　よかった！ ジェイク:…！？ （施設局の警備担当員達とラグフォードがいる。 警備担当員達がジェイクを保護する。 何人かがハッチの下の武装者の方に向けて 威嚇射撃を行う。） ミラン：その人たちは味方です。 　　　　安心してください。 ジェイク:…。 ラグフォード：…！ 　　　　　　　君だけか？ ミラン：まだ下にいます。 　　　　ジャミングの停止お願いします。 　　　　（ハッチの下に飛び降りて走っていくミラン） 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊ ディーン：（ふらふらになりながら力を放つ。） ブラウゾート：（効いていない。片手から力を放つ） ディーン：！ （吹き飛ぶディーン。起き上がりげふげふと血を吐く。） ブラウゾート：…！ 　　　　　　　(OFF)ジャミングが消えた…。 　　　　　　　　　証言受付が開始されたか…。 ディーン：！ （立ち去るブラウゾート） （走ってくるミラン） ミラン：…！ 　　　　おい！ ディーン：（よろよろと立ち上がる。） 　　　　　…大丈夫。 　　　　　このぐらいの傷なら 　　　　　すぐ治せるから。 （ディーンの傷が急速に癒えていく） ミラン：…。 ディーン：おじさんは。 ミラン：さっき集合場所で保護してもらったよ。 　　　　（通信で様子を聞くミラン。） 　　　　ああ、心配しないでいい。 　　　　今、調停所に到着して、証言開始したってさ。 ディーン：そっか。よかった…。 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊ ジェイク：（独白）証言するべき内容はもう立派な書類になっていた。 　　　　　質問されることも俺が答えることも全部決まっていて、 　　　　　言われた通りにしていると、あっという間に終了した。 　　　　　別に俺じゃなくてもいいような気がした。 （ドアから出てくるジェイク. 待っていた施設局長とラグフォードが迎える。） 施設局長：おお！ 　　　　　君がジェイク君か。 ラグフォード：こちら、施設局長です。 　　　　　　　ジェイクさん。 ジェイク:はぁ…。 施設局長：よく勇気を持って証言してくれた。 　　　　　本当にありがとう。 施設局長：さあ！今日は飲むぞ！ 　　　　　前祝いだ！ 　　　　　なぁ！ 　　　　　 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　　＊ （宴席。 陽気にふるまう施設局長。静かに飲んでいるラグフォード） ジェイク:…。あの女の子達は…。 施設局員：？ ジェイク:ほら、俺を連れ出した…。 施設局員：ああ、ラグフォードさんとこのお嬢さんたちかい。 　　　　　さっき報酬もらって帰ったよ。 ジェイク:…。 　　　　　 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　　＊ （朝が来ている） 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　　＊ （ミランのすみか。 ブラウゾートにボコられている自分を思い返しているディーン。） ミラン：どした？ディーン。 　　　　 ディーン：…。 ミラン：…あいつのことを考えてる？ ディーン：ミランもあいつを見たの…？ ミラン：逃げていく後姿だけな。 ディーン：（首を振る）あいつが逃げたんじゃない。 　　　　　　　　　　　私が見逃してもらったんだと思う。 　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　…。私を見ても驚かなかった。 　　　　　　　　　　　私のこと前から知ってたのかな…。 ミラン：…。 　　　　昨日襲撃してきた奴らな。 ディーン：？ ミラン：あのあと施設局の連中が怪我して動けない奴らを拾って 　　　　行政局に突き出したらしいんだ。 　　　　 　　　　何人かが照会できたらしい。 　　　　もともと実験体用の子供をメーカーに卸す仕事をしてたらしいんだけど、 　　　　それだけじゃ食えなくなって、ああいう仕事も下請けでやるようになった連中だと。 　　　　ディーンと会ったばかりのころ、ディーンをさらって行った奴らがいたろ。 　　　　あいつらの知り合いなのかもな…。 　　　　 ディーン：あいつら、行政局の武装官じゃなかったの？ ミラン：武装官があんな雑なやり方するわけないじゃん。 ディーン：そっか…。 （黙り込むディーン） （見つめるミラン） 　　　　　 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　　＊ ジェイク:（独白）仕事場に行くと、 　　　　　建物はあとかたもなく吹き飛んでいた。 　　　　　俺を送ってきてくれていた施設局の人は 　　　　　ひどくすまなそうな顔をして 　　　　　住むところと仕事を 　　　　　すぐ世話しようと言ってくれた。 　　　　　＊　　　　　＊　　　　　　＊ ジェイク:（独白）楽な仕事だし前より手取りもいい。 　　　　　不満に思うことは何もないんだろう。 　　　　　世界はきっと前よりよくなっている。 　　　　　俺には関係のない所で。 END